とおう 兎王

とおう(兎王)

天下が星の乱れや大洪水で荒れ果てて食べ物がなくなり、飢えた一切智光明仙人に身を捧げるために、火に飛び込んだ兎[うさぎ]。

兎王の犠牲に感じ入った一切智光明仙人も、火に身を投じました。

この出来事にこころを動かされた天の神々は、千の国々に達する光を兎と仙人に放たせました。兎王はその後、釈迦として生まれたとされます。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『一切智光明仙人慈心因縁不食肉経』などで書かれるはなしに登場する兎。このはなしでは「母」とも書かれており、雌の兎と描かれてます。「とじ」はその子供。

ごひゃくびゃくと」は林にいっしょに暮らしてる兎たち。「にひゃくごじゅうさんじゅしん」は身を投じる火のための香薪をあつめてくれた山神・樹神たち。

『六度集経』などでの「とおう」、 『雑宝蔵経』などでの「じと」とは異なった展開のもの。

和漢百魅缶│2023.01.09
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