じと 慈兎

じと(慈兎)

天下がものすごい日照りになって食べ物が無くなってしまったとき、山にすむ親しい仙人に食べ物として自らの身を捧げようと、火に飛び込んだ兎[うさぎ]。

苦悩の末に仙人は、身を呈した兎を悲しみながら食べ、山の中で日照りを生きながらえました。

これにこころを動かされた帝釈天は雨を降らせ、仙人はさらに修行をかさねて五神通を得た五通仙になったといいます。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『雑宝蔵経』の「兎自焼身供養大仙縁」に書かれてるはなしに出て来る兎。名前としては「兎」としか出て来ず、他のはなしのように「兎王」(「とおう」・「とおう」)としては出て来たりはしません。

また、苦悩の末に仙人が食べちゃう展開はありますが、このはなしだと雨が降って天下がもとに還るまでで、月に兎が配置される展開は含まれてません。

和漢百魅缶│2023.01.15
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