あいもとのだいじゃ 愛本の大蛇

あいもとのだいじゃ(愛本の大蛇)

越中新川郡の愛本の淵にいた大蛇。むかし淵のほとりにあった茶店に美しい武士に化けてやって来て、そこの娘をお嫁さんに欲しいと言って連れ帰ったとされます。

翌年、娘は身重になったので、粽[ちまき]をおみやげに持参して実家に帰って来ました。「決して部屋をのぞかないでください」と娘は告げてお産をはじめましたが、あまりに物音がしないのを不安に思った母親が戸をあけてのぞいてしまいました。

娘は7匹の小蛇を生んでおり、別れを告げて淵へと立ち去ったソウナ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
蛇のところから娘が持って来た粽[ちまき]は、決して腐敗することのない、長持ちのするふしぎな粽で、娘は大蛇の淵へと去る前に母親にそのつくりかたを教え、それが茶店に伝えられて来たと語られてます。

大筋や粽のくだりは共通してるのですが、語られる場合によって、娘も「おみつ」や「おとせ」であったりなかったりするなど、こまかい人物設定や内容が変わってたりします。

和漢百魅缶│2023.04.14
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