山奥で静か暮らし、何も身につけずに五穀を断ち、不老長寿になってた単豹[ぜんひょう]という隠者を、アッサリと食べてしまった虎[とら]のこと。
避けることの出来ない堅強な運命(誰もいない山で、無防備な状態で、餓えきった虎と遭遇する)の介入の代表例として用いられます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
単豹が食べられてしまったはなしは『淮南子』人間訓や『荘子』、『呂氏春秋』に書かれてて、「内」を養い最高の状態にたかめてたけれども、「外」を不意の介入で失ってしまった、内外・天人の調和にかけてしまった出来事(内外虧調)として「ちょうきねつ」と一対で語られます。
また、もしも単豹が事前にうらないで虎に襲われる運命を知ってたとしたら――という文脈で、事前にそれを知っていたところで何をしてもそれを避けられないのであればうらないは無力であるし、知った上で確実に避けられるんであればうらなった時点で出た結果は妄言になってしまう、という矛盾を論議するときにも用いられます。
和漢百魅缶│2024.11.21
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