五島列島の鬼岳にある沼に住んでる「がっぱ」で、神通力もつよく、周辺の河童たちの親分だといいます。
むかし、「がっぱ」と賭け相撲をして勝った漁師の男がおり、「がっぱ」は「いま手許に現金がないなら、この壺と書状を鬼岳の親分のところに持って行ってくれ」と壺と手紙を男に手渡しました。
実は、その書状には「壺には99個、人間の臍[へそ]が入れてあります、100個めはそれを持参した男から取って下さい」という内容がしたためてあり、鬼岳の沼にこれを届けた男は、たちまち水の中に沈められ、臍を抜かれてしまいました。
☆ 莱莉垣桜文 附註
手紙のお使いをする昔話ですが、人間にとってよくない結末で終わる展開のもの。
「かっぱのおうさま」など、他の地域の例のように「がっぱ」たちは親分に100個の臍を献上する、臍を取るために人間を水に沈める――などの設定が付与されてるのがわかります。
和漢百魅缶│2024.08.29
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