むかし、四国に流れ着いた「うずらぶね」(うつぼぶね)に入ってたという美しいおひめさまで、予州の北条にとどまって、絹の織物をつくって暮らしてました。
狩りに出てた殿様が、たまたまそのすがたを目にして無理に屋敷へ連れ帰ったのですが、決して意に添おうとしなかったので、蛇を大量につめ込んだ樽[たる]のなかに御前を入れて殺してしまいました。
翌年、御前のたたりで殿様は落馬して亡くなり、村々にも流行り病が広がりました。御前の霊は藤ノ御前神社としてまつられ、流行り病もなくなったそうです。
☆ 莱莉垣桜文 附註
御前はみやこで罪に問われたために難速津から流されたなどと語られてました。「ひめさかさま」のようにうつぼ舟で流された、とされるはなしのなかではこれも理由としてよく挙げられるもの。
蛇責めにされるはなしの展開も、各地に広くあるものです。
和漢百魅缶│2023.02.15
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