蟻[あり]たちの女王様で、立派な御殿(蟻宮…ありのみや)をもってます。
種子島などにつたわるもの。むかし、水たまりの中でおぼれそうになってた蟻をたすけてやった男が、蟻たちから御殿に招かれてもてなしを受けます。
男は、のぞみものを思いながら袖[そで]を振ると、そののぞみの物が出てくるという美しい着物をもらって帰り、大金持ちになりましたが、箱に入れてこっそりしまっていたその着物を「これは浮気相手のものに違いない」と誤解したおかみさんに燃やされてしまいます。すると、着物を燃やした炎はたちまちに家にうつって、袖から出た財産すべては灰になってしまったソウナ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
「無い袖は振れない」ということばのもとになった、と最後に語られる昔話に出てくるもの。蟻のおはなしは、ほかにも「ありのおおきみ」などがあります。
和漢百魅缶│2016.02.11
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