しらがやまのやくじん 白髪山の厄人

しらがやまのやくじん(白髪山の厄人)

一切の病気をつかさどってる存在。どんなやまいでも治すことのできる方法を記している紙だか絹だか知れぬ素材にしたためられたひみつの巻物を所持してます。

むかし、土州の汗見川にいた松井道順という名医が、白髪山に出たこの厄人からその巻物を授かったので、とても腕がよかったが、世の動乱でその巻物も失われちゃったヨ、というおはなしが写本の『土佐化物絵本』にあります。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『土佐化物絵本』(写本)曰
「汝我をおそるる事なかれ我は是一切の厄人なり我たぐい世間にわたってもろもろの病を授け人おなやます」
「邪神わいづくともなく失ぬ夫[それ]より道順医術秀[ひゐで]しが程なく打つづきたる世の乱[みだれ]に其行処をしらず」

『古今百物語』(拾遺おとぎ)にある「やくしん」のはなしと文の上での表現までそっくりであることから実際の伝説ではなく同一素材の書き替えであることもうかがえます。

和漢百魅缶│2015.09.03
Re Design. Koorintei Hyousen 2015