相州の石川にあった諏訪神社のお宮に出たというなぞのばけもの。ものすごく大きくて、人間をつかまえては食べたりしていたんだとか。
しかし、日頃から「じょうぶつしたい」と本心では思っていたそうで、あるとき、お宮の近くで赤ちゃんのおもりをしてたひとが、どんな子守歌をうたっても泣き止まない赤ちゃんに対して、最後の手段としてうたってたお経の文句をききつけ、それを一心に願い込んで、ついに成仏することが出来たといいます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
妖怪が、自分の境遇から成仏することで逃れるという発想は、「うえたばけもの」の話のように、この話が天竺や漢土のものを受けて構成されていることを示していると考えられます。
和漢百魅缶│2012.07.19
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