おにおんな 鬼女

おにおんな(鬼女)

小袖を着た若い女の姿をして歩いているひとの前にあらわれ、急に振り返ってびかびか光る眼と耳まで裂けた口を見せてびっくりさせて来たというおばけ。

むかし、江戸のあるお坊さんが暗い夜道でこれに出遭ったといいますが、真っ暗いのにやけに着物のもようがハッキリ見えたりした、とも言います。

☆ 莱莉垣桜文 附註
素隠軒奚疑『霖宵茗談』曰
「女先へ立て歩み行きたり。さほど目されとも知らぬ暗[やみ]なるに小袖の模様迄ありありと見えたるは如何したる事にやと思へばかの女跡を振向きて見たる其顔を見れば眼[まな]こは磨[みが]たる鏡の如く光り口は耳の根までさけてさながら般若の面を見るやう」

「くちさけおんな」や「ににんくさちけ」などと、大体似たものですが、暗くて遠くにいるのに着物の模様がハッキリ見えるというのは、狐狸やいろいろな妖怪にも共通することです。

和漢百魅缶│2012.04.21
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