年を経て霊力を得た狗(いぬ)が化けたりして人間をたぶらかしたりするといったもの。
むかし東海郡蘭陵の役所には、夜中になると黒い頭巾に白い衣服の役人のようなひとが門にやって来て「ちょっとすみません」と案内を乞うのですが、応対に出ると忽然とすがたを消してる――ということが何年もつづきました。
あるとき、正体をつかんでやろうと門の近くにジッと隠れてうかがってみると、頭の黒くて体の白い老狗がトコトコやって来て、人間に化けて、このいたずらをしてることがわかったソウナ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
『捜神記』(巻18)のはなしに出て来るもの。
狗精たちは毛並の色によって人間に化けたときの衣服や巾冠などの色がおのずと決まってしまう、という流れは「はっくせい」などのはなしでもうかがえるもの。
和漢百魅缶│2024.11.16
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