ばいゆらきょう 売油鑼響

ばいゆらきょう(売油鑼響)

油売りの青年の幽霊で、いつも真夜中になると「油はいりませんかゴンゴン」と鑼(どら・かね)を鳴らしながら、家々の前を歩く声をさせて、ぶきみがらせてたといいます。

同じ時期に、別の家の若い娘さんが病気で亡くなったのですが、たまたまそのお墓が、この油売りのお墓のすぐとなりでした。――すると、埋葬からしばらくたった頃の幽霊の売り声は急にニコニコした調子の「油はいりませんかゴンゴン、かわいいかみさんもらったよゴンゴン」というものに変わってました。

ふしぎに思った人々が調べてみると、お墓のことがわかったので、娘さんを別の場所に葬り直すと、その夜に「かなしいゴンゴンかなしいゴンゴン」という声がして、以後は油売りの声を立てて現われることはなくなったんだソウナ。

和漢百魅缶│2024.11.15
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