ことのざとう 琴座頭

ことのざとう(琴座頭)

姫路城の「ぬし」があらわした妖怪の一ッで、琴[こと]を美しくかなでる座頭さんのすがたに変じたもの。

天守閣のひみつをさぐろうとした殿様の近くにあらわれ、「琴の爪箱[つめばこ]のふたがあかないで困っております」と話しかけて来ました。殿様が「そんなことか、任せておけ」と箱に手をかけると、ぴったりと両手が箱に張りついてしまったソウナ。

座頭さんはいつの間にか巨大な鬼神のすがたの「ぬし」に変わっており、「われをおそろかにすれば、引き裂き殺すぞ」と告げて消え、やっと爪箱から手も離れました。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『諸国百物語』(巻5)の姫路城のはなしのなかに出て来るもの。天守閣の「ぬし」は「おさかべひめ」のような存在のことのようです。

出て来る殿様は「秀勝」[ひでかつ]という名前のみで登場しており、誰なのかハッキリしてませんが、池田輝政[いけだてるまさ]などが想定されてると考えられてます。

和漢百魅缶│2024.06.13
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