峠の大きな岩の下あたりに暮らしてたという小さいひとびと。
むかし、塩売りのじいさんが山へ塩を売りに行って猟師からおおきな猪[いのしし]の肉をもらって来ました。峠道で休んでると、一寸法師たちが出て来て「その肉と、なんでも出て来る碾臼[ひきうす]を交換しれくれんか」と頼んで来ました。塩売りじいさんは肉と小さな碾臼を取り換えっこしました。
家へ帰る途中の舟の上で、船頭さんに「それはなんだ」と尋ねられたので、塩売りのじいさんは「本当に願いのものが出て来るのか試してみよう」と実験を開始。塩を出してみたところどんどん臼から塩が出て来たのですが、止め方を一寸法師からは教わってなかったので歯止めが効かず、舟ごと臼は沈んでしまいましたトサ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
予州宇摩郡に伝わる昔話に出て来るもの。海の水がしょっぱい理由に結び付けるおはなしとして語られてました。
たからものの持ち主が、鬼や山姥ではなく一寸法師なところがポイント。
和漢百魅缶│2024.01.04
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