上州那波郡の上福島に伝わる怪火。ふわふわと飛びまわってたかと思うと、背後から飛び上がって花火のように 飛び散り、それにおどろき倒れたひとの血を吸ってたといいます。
この土地の殿様で上杉家によって討たれた「那波又太郎」[なわまたたろう]の亡霊だと語られてたり、飛脚がこの火を斬ったところ馬ぐらいのおおきな貂[てん]が死んでおり、以後ぷっつり出なくなったので、その大貂が化けてたのだ、と語られてたりしたそうです。
☆ 莱莉垣桜文 附註
「天火人」というのは、昭和初期の報告文で筆者の高井義信によって独自につけられたと明示されてる宛字で、「てんかじん」という名称のモトモトの語義は不明瞭です。
蛍[ほたる]の出る時季に出現したともいいます。
和漢百魅缶│2023.08.22
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