狐[きつね]が化けてたという女性。
江戸で学問をするために土州を出発した石垣志麻[いしがきしま]という武士を、船旅の途中で救い、将来を誓いました。しかし、出世した志麻は「とね」の記憶も薄れ、江戸で旗本の娘「いと」を妻に迎えました。
志麻の屋敷に「とね」が訪ねて来たのは、志麻が大坂に転任した後のころで、「いと」が「とね」を姉として屋敷に置きましょうと提案したので志麻はそうすることにした。しかし、やがて志麻の留守中に「いと」は「とね」と愛し合う仲になってました。
その様子をたまたま見てしまった志麻は、「とね」の正体が狐であることを見て斬りかかりましたが、狐となった「とね」は「いと」を抱えて空に消えて、どこかへいなくなってしまったソウナ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
山田野理夫『日本妖怪集』第2集の「女二人」というはなしに登場するもの。船中で病気になった石垣志麻が船から捨てられそうになったところを、「とね」が救うという展開。
和漢百魅缶│2023.07.
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