はやしのものおと 囃子の物音

はやしのものおと(囃子の物音)

誰もいないはずの家のなかでどんちゃかお囃子を鳴らして手拍子足拍子で踊ってる大勢のひとの音が響いてるというもので、部屋の中を確かめても誰もおらず、また別の部屋から聴こえてくるというふしぎなもの。

むかし内藤新宿で明き屋敷の番人をしてた五郎蔵[ごろぞう]という男が、家族が留守でひとりだけだった日、家に帰って見るとこれが発生しており、ふしぎに思ったが、気にせずに眠るといつの間にか音は止んでたといいます。 これは数日つづいたあと、パッタリ発生しなくなったソウナ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『享和雑記』巻3に記されてるはなしにあるもので、五郎蔵は胆がふとい性格なので気にしなかったという展開になってます。文末には狐狸の起こすいたずらや、田舎で「神かぐら」と呼ばれるものなのであろうとの解説があります。

和漢百魅缶│2023.05.15
Design. Koorintei Hyousen 2023