むかし若い武士が旅の途中で日が暮れてしまい、困ってたときに見つけた宿に住んでた、年をとった女。
武士に対して「ごちそうをつくって来ますから必ずここで待っててください」と戸をすべて閉めて出て行ったのですが、いつまでたってもなかなかこないので、武士は戸をこっそり開けて見てみました。すると、老女は自分の目やに・鼻くそ・耳くそ・歯くそなど汚いものを、しょっちゅう食材に加えつつ調理をしてました。
しばらくすると、女は完成した御馳走のお膳を持ってきました。食べてみると食べたことがないほどにそれは美味しかったのですが、「よくも汚いものを食べさせたな」という怒りから武士は老女を斬り殺してしまいました。
すると老女の死骸の、目から野菜・鼻から麦・耳から芋・口からは米がどっさり生えて来たといいます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
奄美の三方村などに伝わる昔話にみられるもので、神話にみられる「おおげつひめ」などと似た展開のはなし。
和漢百魅缶│2022.12.20
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