さがり 下がり

さがり(下がり)

木の上にぶらさがってるという首だけの馬の妖怪。口をあけて「ひんひん」と鳴いたりします。

山道で病死した馬の霊が、近くに生えてた木に宿ったものだといいます。ふだんは眠ってて、急に起こされたりするとドシンと落下して来ます。うっかり下にいるとつぶされて命を落とすことになります。

☆ 莱莉垣桜文 附註
山田野理夫『おばけ文庫 たたみ たたき』(「雪女郎」)や『おばけ文庫 たんたん ころりん』(下がり)で書かれてる妖怪。「妖怪名彙」で紹介されて知られた「さがり」を素材としたもの。全国各地にいると設定されており、清水西五郎というひとが岡山で見たというはなしが「一例」として描かれてます。

「雪女房」のはなしでは、仙台の阿部平作と山賊のはなしのなかに山道にいる妖怪として登場しており、山賊の上に落下してあたまをぶち割ったり、山賊の女房(正体が雪女房)の上に落下して肩を砕いて殺してしまう役割を演じてます。

「雪女房」のはなしは野理夫が母から聴いたはなしとして書かれてますが、内容からみると女房の首がどこまでもついてくるという昔話が素材となった作品のようで、「さがり」はそこに登場人物を破壊する「役」として採り込まれたものだと考えられます。

和漢百魅缶│2022.08.08
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