夜道の森などで「水がのみたいな」と思ってると、するするすると吊り下がって来るふしぎな薬缶[やかん]の妖怪。中には甘い味の水が入ってるといいます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
山田野理夫『おばけ文庫 たんたん ころりん』の「やかんつる」のはなしに登場する妖怪。「妖怪名彙」で紹介されてる「やかんづる」を素材にして書かれており、中身を飲んだ味の感想が出て来るところが特徴です。
薬缶の中身を飲んだ人間は田中豊太郎という人物で、小諸に向かう道中でのはなし(太った体格なので途中で水が欲しくなったところ、これが出現した)と舞台設定されてます。
「やかんざか」と同じように、薬缶な妖怪の中身を飲んだという展開は野理夫作品に共通して出て来るパターン。
和漢百魅缶│2022.07.26
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