影のすがたであらわれるという美しい女の妖怪で、窓から顔をみせたりもしたようです。
女のいない、男しか住んでない家に出ることがあるんだソウナ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
山田野理夫『東北怪談の旅』などで書かれてる妖怪。鳥山石燕の画像妖怪である「かげおんな」を素材にしたもの。
『東北怪談の旅』では鶴岡城の城下町にすむ酒井吉左衛門の家に、妻女の死後あらわれるようになったというはなし、『信濃化けもの秘録』では洗馬宿の、おとこひとりで経営してる旅篭[はたご]に出たというはなしが描かれてます。「しょうこをかけたばばあ」も、これらのはなしには登場します。
「影女の出る家には色々な妖怪たちが出て来るようになる」という旨の描写もあり、このあたりは石燕の填詞にある「もののけある家には」というフレーズから逆算された連想発展がある模様です。(石燕の場合は「妖怪の出る家には影女が出る」だけれども、野理夫の場合は「影女の出る家に色々な妖怪が出る」ということになる)
これとは全然別の「かげおんな」のはなしも野理夫は書いてます。
和漢百魅缶│2022.07.11
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