糸がこんがらがってしまったときは、「糸屋の婆さん、糸屋の婆さん、こんがらがった糸ば解いて下さい」と頼むと、 きれいにほどけるといわれてたそうです。
仙台の雨傘屋には、やきもので出来た小さい婆さん像があって、その像がこの「いとやのばあさん」で、糸を直してくれたり、どろぼうを懲らしめてくれたり、家の子供と遊んでたりしたトカ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
山田野理夫『宮城の民話』に収録されてるはなしに出て来るもの。家族から聴いた伝承をベースにしてるものとみられます。この雨傘屋さんの婆さん像は、のちに近所の家に似た爺さん像があるというはなしをたまたま耳にしたあと、その家にひとりでに行ってしまって帰って来なくなったと描かれてます。
「糸屋の婆さん、糸屋の婆さん」といった語句部分が、モトモトは糸がからんだときに唱えるとなえごとのフレーズとして存在してたものなのだろうと考えられます。
和漢百魅缶│2022.07.08
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