じぞうのちから 地蔵の力

じぞうのちから(地蔵の力)

加州能美郡安宅に明和・安永のころにいた宮腰屋伊平[みやこしやいへい]というすごい力持ちだったひとのはなしに出て来るもの。

伊平は小さいころ船で働いてて、あるとき寄港した島で本船に飲み水を運ぶために小さい伝馬船[てんません]を漕いでたのですが、引潮で砂の上に乗り上げてしまい動けなくなってしまいました。

困り果ててると、近くの泥の中で大きな石地蔵が倒れて埋まってるのを発見。水は売るほどあるので、それできれいに洗って起こしてやると、大きさのわりに軽々としたふしぎなカンジ。――すると、伊平は今まで前にも後にも動かす事も出来なかった伝馬船も軽々押せるほどの力持ちになってたソウナ。

以後、伊平は晩年まで大変な力持ちとして知られ、重い米俵もひょいひょい運んでたといいます。

和漢百魅缶│2022.05.07
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