豊後直入郡の鴫田につたわるもの。「ひろと」という土地のひとが淵であみをつかって魚を捕ってたところ、ものすごく大きな魚が捕れたので、あみに入れたまま持って帰ると、途中で淵のほうから「黒太郎公ー、貴公は何処[どけ]ぇー行くんかー」という声が響いて来て、「ひろとさに背甲あぶりに行くー」と大きな魚が呼びかけ返したソウナ。
これにおどろいて、あみを近くの松の木に掛けて、そのまま逃げ帰ってしまったので、その道に網掛[あみかけ]という地名がついたと語られます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
淵は「黒太郎淵」と呼ばれてます。淵や池に住む大きな魚類がしゃべるというもので、「おとぼうなまず」や「じぞうがふちのとねぼう」などと同様のもの。
和漢百魅缶│2021.10.05
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