きつねのこおとこ 狐小男

きつねのこおとこ(狐小男)

むかし、幼い皇子の部屋に突然とことこ入って来て、たたずんでたりしてたという3尺ぐらいのふしぎな男。

おそばの者は誰もどうすることも出来ませんでしたが、男があくびをしながら「明日は雨降りかぁ……」とつぶやいたのを耳にした皇子が「鴻雁[こうがん]は風をいとい、野干[やかん]は雨をうれう――という、なんじはきつねならん」と喝破したので、たちまち「こうこう!!」と鳴いて狐[きつね]のすがたとなって消えたといいます。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『和論語』や『因縁抄』などにある「幼い頃から善悪に強い」という内容のはなしで、皇子については、後醍醐天皇あるいは延喜のみかど(醍醐天皇)が4歳のときと語られてます。

この狐が何を目的としてたのか、くわしくは不明。

和漢百魅缶│2021.06.20
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