ふくしんのみのいのしし 腹心のみの猪

ふくしんのみのいのしし(腹心のみの猪)

脚が生えておらず、頭・胴・尾しかないふしぎないのしし。

源頼光[みなもとのよりみつ]が見た夢のなかに出て来たもので、碓氷[うすい]峠で狩りをしていたと思ったら、出て来て仕留めたいのししがこれで、ふしぎに思ってると衣冠をただしたふしぎなひとが現われて、いのししの脚を渡してくれたんだトカ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『前太平記』の、碓井貞光が頼光四天王に入るはなしの発端となる夢に登場するもの。脚を持って来て渡してくれた異人は諏訪明神だといいます。「天が忠臣を与える」しるしだとされており、当時まだ渡辺綱・卜部季武しかいなかった頼光の臣下に、碓氷峠に住んでた貞光が加わる展開につながります。

和漢百魅缶│2021.01.16
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