駿州の沖のあわびが多く採れる岩場の洞穴の中にいたという、ものすごく大きなぬしのような鯛[たい]。
もぐった蜑[あま]たちが近づいたりすると驚き怒って動き回ったりしておそろしかったそうですが、洞穴のさけめよりも図体が大きくて外に出ることは出来なかったといいます。こちらからも顔あたりしか見えないため、全体の大きさとなるとわからなかったトカ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
『譚海』には、稚魚だったころに洞穴のさけめから中に入って、そのまま年をへて成長した結果、外に出られなくなったものと記してます。
和漢百魅缶│2021.01.08
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