きしだけばっそん 岸岳末孫

きしだけばっそん(岸岳末孫)

肥前の松浦郡などにつたわるもので、人々にたたりをなす存在。朝鮮出兵後、豊臣秀吉により領地を没収され関東の筑波に遷されてしまった波多家の者やその家臣たちの霊だとされています。

農作業中や山仕事中に突然具合が悪くなったり、けがをしたりするのは、これに障ったせいによるたたりだといわれてます。

常に渇きに苦しんでるともいい、水やお茶をどんぶりや桶にたくさん入れて飲ませると、たたられたひとが回復するともいわれていたようです。

馬や牛が突然動けなくなってしまうのも、「岸岳末孫に憑かれた」などといわれてて、英彦山のおふだを食べさせたりすると動くようになるといいます。

☆ 莱莉垣桜文 附註
岸岳(鬼子嶽)は「こかく」という鬼がいた山(『大佐用』vol.38)として知られます。波多の家系も、これを退治した渡辺久(渡辺綱のむすこ)の子孫であるといいます。

和漢百魅缶│2020.11.27
Design. Koorintei Hyousen 2020