なくほたる 鳴蛍

なくほたる(鳴蛍)

もみじの出るころ、山奥で鳴いて舞い飛ぶらしいふしぎな蛍[ほたる]。

☆ 莱莉垣桜文 附註
豊臣秀吉[とよとみひでよし]が「奥山にもみじふみわけ鳴くほたる」という連歌を詠んだ際に紹巴[じょうは]が「鳴蛍などないでござろう、証歌でもござるか」と言ったら細川幽斎が機転をきかせて「武蔵野の篠[しの]をたばねてふる雨に蛍ならでは鳴く虫もなし」という歌がござる、と進言し、秀吉の機嫌が直ったというハナシなどに出て来るもの。(幽斎の出した「なくほたる」の前例という歌は実はその場で幽斎がつくったもの――という『狂歌咄』などにあるもの)

和漢百魅缶│2018.10.14
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