おやしきのゆうれい お邸の幽霊

おやしきのゆうれい(お邸の幽霊)

あるお金持ちのおやしきに夜な夜な出てひとを困らせてたというゆうれい。なんとか出来ないかとあたまのよいひとにきいたところ「1000人のえらいお坊さんをあつめてお経をあげるとよい」ということで僧侶を集めることに。ところがどう国中をさがしてがんばっても999人しか集められないので、おおよわり。

するとそこに、ざんぎり坊主な髪型をしてる、よく知る木樵[きこり]のおじさんがとおりかかったので「あたまが坊主みたいなものだからなんとかなるかもしれん」と、1000人目としてお経の集団に急いで編入。おじさんはお経を知らないので仕方なく、思いついたままに「頭巾ぬぎゃ毛が出る頭巾ぬぎゃ毛が出る」と唱えましたが、うまいことゆうれいは出なくなったソウナ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
石州邑智郡などにつたわる昔話に出て来るもの。おはなしの主眼は坊主を1000人むりやりそろえる部分なので、どういった身の上の幽霊なのかはあんまりよく決まってないみたい。

和漢百魅缶│2018.07.07
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