紀州日高郡のとある山のなかに棲んでたというふしぎな通力をもってる女。ただひとりで何百年も棲んでおり、必要な用事があったりすると「はこのようじゅつ」を使ってたようです。
道に迷ったひとを泊めてくれたりしますが、術のひみつなどについて執拗に知ろうとした者は、いのちをとってしまったといいます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
『太平百物語』に載ってるはなしに出て来るもので、岸和田の志賀右衛門という各地の寺社におまいりをしてた男が熊野山に行く途中みちにまよってこの女の家にたどりついたという展開が書かれてます。
『太平百物語』曰
「是れ妖術なりされども御身の為に更に害なし我れ此所に住む事百余年御身のごとく道に迷ひたる人これまで四人なり此術をあながちに問ふ人其内に二人ありて力なく命を取る二人は問はずして命全く帰しぬ。と語れば志賀右衛門も其言葉の恐ろしさに再びとはず」
和漢百魅缶│2018.06.17
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