紀州の手取城の殿様が、とうげみちに天狗[てんぐ]が出るといううわさを聞いて退治に出発。あやしげな巨大な山伏が出て来たので斬りつけると、鳶[とび]のつばさのようなものが落ちてたので「これは天狗の片羽根だ、撃退のしるしとして家宝にせん」と持ち帰りました。
しばらくして、よその国からやって来た身分の高い僧侶が手取城にやって来て、その片羽根を見せてくれ譲ってくれと所望。殿様が「それはならぬ」と断りますが、僧侶はたちまち天狗の姿に変じて片羽根を奪い取り、飛び去ってしまったソウナ。
僧侶に化けてやって来た天狗は、片羽根をとられた天狗の親戚だと名乗ったといいます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
「いばらきどうじ」が腕を取り返しに来るおはなしなどと少し近い展開のものです。
和漢百魅缶│2017.08.29
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