かしわでのおみひろくにのちち 膳臣広国父

かしわでのおみひろくにのちち(膳臣広国父)

豊前京都郡にいた膳臣広国[かしわでのおみのひろくに]の父で、死後に地獄での苦しみと飢えからいろいろな畜生のすがたになって広国の棲んでる家に出没したことがあったというもの。

7月7日には蛇のすがたになって来ましたが杖で追い払われ、5月5日には赤狗のすがたになって来ましたが家の犬たちに吠え出されたのですが、正月1日に狸(ねこ)のすがたになって来たときはうまいことお供えものなどを食べることが出来た、とのハナシ。

地獄では日に3度、釘を刺しまくられた体を300回ずつ打たれる責め苦などを受けており、広国に対して「追善供養をしてくれれば身が助かる」と告げたといいます。

☆ 莱莉垣桜文 附註
『日本霊異記』にあるはなしで広国が南国(死後の世界、地獄)を見て来て蘇生をしたというはなしに登場します。膳臣広国は、『今昔物語』では膳広国と表記されたりもします。

狸という字は猫の意味として出て来ています。

和漢百魅缶│2017.03.23
Design. Koorintei Hyousen 2017