さらさのえのぐ 更紗の絵具

さらさのえのぐ(更紗の絵具)

明治の前半ごろ、コレラがはやったときに避病院[ひびょういん]に収容されると、病院では生き血をしぼりとられて、それが更紗[さらさ]の布にあざやかな色をつけるために使われちゃうからコワイ、などと俗に噂されたりしたもの。

☆ 莱莉垣桜文 附註
生き血を絵具にするなどという発想は、むかしからある「纐纈染につかわれる」とか「南京皿につかわれる」とかいった言い伝えなどを引いているもの。

『東京絵入新聞』明治15年6月16日 曰
「コレラを煩らって避病院へ行くと生血[いきち]を取って更紗の絵の工[ぐ]にされます夫[そ]れだから御覧なさい此節[このせつ]日本[こっち]で出来る更紗の多いこと などといふ痴愚[ばか]は最[もう]地を払ってなからふかと思ふと未々[まだまだ]」

和漢百魅缶│2016.11.21
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