金峰山にあるという金崩と呼ばれる場所にごろごろ転がってる金のかたまりで、無造作に落ちてますが、ひろって帰ったりしようとすると、必ず、雨が降り、地が揺れ、かみなり雲が出て来て、雷を落とされるといわれてたそうです。
むかしむかし、ある箔打[はくうち]の男が、それと知らずにひとかたまりを拾って持って帰ったところ、ふしぎと落雷にみまわれなかったので、これさいわいと、それを金箔[きんぱく]に加工。お寺に売り込もうとしたら、金箔いちまいいちまいに、なぜか「金御嶽」という文字がびっしり表面に浮き出てて、「これはなんだ!」ということになり箔打は逮捕されてしまったソウナ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
『宇治拾遺物語』にあるおはなし。「金御嶽」というのは金峰山のこと。
和漢百魅缶│2016.10.19
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