晋の時代の武都の太守・李仲文の女[むすめ]でとても美しい少女でしたが、18歳のときに亡くなり埋葬されます。
その後、その霊鬼が次の太守の息子・張子長のもとに何日も夜ごとにかよってくるようになるのですが、ある日のこと履[くつ]を片方忘れていきます。
その履を李仲文の家の者が見て「お嬢様のものではないか」と子長に女の様子を聞きただてみるに、まさしくそうであろうということに。さっそくみんなでお墓を掘り返してみると遺体に左脚の履が無い。その夜、むすめの霊鬼はゆめまくらに立ち「わたしはいま肉を再生してもう少しで完全によみがえるところであったのに墓をあばかれてしまい肉が腐れてしまいました、悲しいですがもうお会いも出来ませぬ」となみだを流して別れを告げましたソウナ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
埋葬された遺骸の霊鬼が生者と交際しているうちに次第に生の肉がもどり、再生にちかづくというおはなしの一ッ。
和漢百魅缶│2016.03.10
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