いのししおとこ 猪男

いのししおとこ(猪男)

むかし、畑の手伝いをしてくれるかわりに、いのししに娘のうちのひとりを嫁にしてやると約束をしたおやじさんがいたのですが、娘たちはみんな「いのししの嫁になるだなんてイヤだ」と拒絶。

いちばん末の娘が、いのししの嫁になってもいいと言ったので、いのししはこれをかついで山へ帰ります。途中、湖でいのししが「のどがかわいたぜ」と水を飲むとたちまち美しい人間の男の姿に変じてしあわせに暮らしたので、姉たちは末の娘をうらやんだソウナ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
備後の世羅郡などにつたわる昔話などにでてくるもの。最終的に美しい男になる点は「たにしむすこ」などにも近い展開のものです。

和漢百魅缶│2016.02.12
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