肥後の天草郡などにつたわるもので、雨ごいをするときに、張子[はりこ]や藁[わら]を材料にしてつくられて海や池の中に投げ込まれる大きな蛇[へび]のつくりもののこと。または、その言い伝えにまつわる蛇のことをいうソウナ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
鐘を水につけたりする雨乞に、唄やお芝居などで知られた「きよひめ」の筋書きがむすびついたとみられるものです。
天草郡教良木村でいわれていた「清姫」の例では、むかし、蛇が蛙をたべようとしてたところ人間がそれをとどめて蛇が蛙を食べそこなったことがあったのですが、時がながれて、そのときの蛙は安珍という男性、蛇は清姫という女性の人間にそれぞれ生まれ変わり、食べそこなった恨みから、清姫は安珍を追いかけ鐘[かね]ごと燃やしてしまいます。そのあと、僧侶がお経をあげたのちに蛇に変じてしまった清姫ののどにとどめを刺した際に大雨が降ったので、その展開を藁でつくった大蛇で再現をして、雨ごいをしたといいます。
和漢百魅缶│2016.01.22
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