竜宮の竜王がもっているというたからもののひとつ。望みのものを言うと、たちどころに出してくれる瓶。
むかし、兄弟がいたのですが親が亡くなった時に小さい一番下の弟をがらくたとともに追い出してしまいます。弟がもう死んでしまおうと悲しんで海辺で唄っていると、その声が竜宮の竜王の耳に聴こえて、竜王は夜叉たちに「この唄声のぬしをさっそく呼んで来い、ぜひじっくり聴きたい」と命令。
弟は海辺まで出て来た夜叉につれられて竜宮にいきますが、そのとき夜叉から「我が君さまから、何か欲しい物があるかと言われたら、豆人瓶をください他のものはたとえ宝物であろうが何一つ欲しくはございませんと言いなさいナ、きっと助かりますよ」と助言されたので、唄を披露 したあとに、早速そのように言上、この瓶を持ち帰りました。
帰って来たものの、家もない弟が「ああとんでもなく大きい屋敷があればなあ」とつぶやくと、たちどころに広大な屋敷がズドン! 中に入るといろんな家具やら品物やらももりだくさん。やがて、弟のうわさをききつけた兄や兄嫁たちがこのひみつを知って瓶を借りていってしまいますが、欲張ってしまったために家は壊れてこの瓶も壊してしまったソウナ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
山西省などにつたわる昔話にあるもの。かわいそうな目にあった状態のひとが竜宮に招かれて宝をもらうかたちは日本などとも共通性のたかいものです。
和漢百魅缶│2015.10.03
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