よぎのかい 夜着怪

よぎのかい(夜着怪)

むかし、江戸の牛込あたりに住んでたひとの家で起きたもの。おばあさんが冬になったので質屋から出して来た夜着をつかいはじめたところ、夜になると「ばば、ばば、暖かなるかや」という声がどこからともなく聴こえてぶきみ。

一体どうしてなんだろう、とおばあさんがいろいろ振り返ってみると、物乞いにやって来た横柄な修験者を以前おっぱらったことがあったので、ふたたびその修験者がやって来たときにお茶なども出してほどこしをあげてみたところ、夜着がしゃべることは無くなったトサ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
根岸鎮衛『耳袋』にあるはなしで、修験の忿恚(ふんい、怒り)が執着して夜着が怪異をなしたとされるもの。

和漢百魅缶│2015.08.26
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