誰も住んでないお寺に誰か旅人や行脚僧などがやってくると出刃庖丁で料理して食べていたというゆうれい。
旅の僧侶がその寺に泊まったところ、ゆうれいたちがあらわれて「ごちそうじゃ」と準備をはじめだす音をたてはじめたので、すかさず鶏の鳴きまねをしてかろうじて料理になる危機を脱出。「次郎作、大白犬[だいはっけん]、小白犬」という名を唱えてたところから、次の夜、猟師の次郎作の犬2匹もいっしょにつづらに隠れてこれを撃退。
ゆうれいたちの血のあとをたどっていくと、椿[つばき]でつくられた横槌[よこづち]、稲荷の穴の狐[きつね]、池の白鯰[しろなまず]が正体であったことが知れたソウナ。
☆ 莱莉垣桜文 附註
筑前鞍手郡などにつたわる昔話に出て来るもの。「しっぺい太郎」などの犬の名前情報から退治をするおはなしと「ていていこぼし」などの化けたものがお寺に来るひとを襲ってたおはなしとが混成しているような感じのものです。「ゆうれい」が妖怪や化物立ち位置で登場している点も注意。
和漢百魅缶│2015.08.06
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