いしのきよひめ 石の清姫

いしのきよひめ(石の清姫)

子供たちにいじめられていた石をたすけて持ち帰った「まさごの庄司」のもとにその石が変化して現われたうつくしい娘。まさごの庄司の娘として成長し、彼が病にふせったときは身売りをしてお金をつくったりもしました。その後、「くめの平内」と結婚しますが平内が芸者とかけおち。怒り狂って道成寺[どうじょうじ]に出現。ふたたび石と化し「玄翁法師」によって鎮められました。

☆ 莱莉垣桜文 附註
福亭三笑の黄表紙『従夫道成寺』(1801)に登場する主人公。この清姫は悲しくなったり怒ったりすると石に変わってしまうという設定で、玄翁法師(三国妖狐伝などで殺生石をうちくだく役で出て来る玄能を援用した登場人物)によって「浅草のあさじが原の一ッ家で婆が旅人を殺すときに石のまくらをつかっていたので、その罪からこのような者とうまれかわったのだ」ということが明かされます。

福亭三笑『従夫道成寺』曰
「これ此石はむかし浅草の一ッ家に住みしばばぁなり前[さき]の世にて欲心深く多くの旅人を泊め置き石の枕をさせて寝かしつけ夜ふけて人寝しづまりし頃上につるし起きし大石を切って落とし多くの旅人を殺せし罪深く一トたび人間界にまじわれど悲しみ怒る時は石となるはこれ前世の報[むく]ゐなり」

和漢百魅缶│2015.07.02
Re Design. Koorintei Hyousen 2015