隠岐につたわるもので、むかし加茂那美神社のおまつりに招かれることになった巫女の舟が台風で沈没。加茂湾に流れついたその巫女を埋めた塚は「巫女岩」と呼ばれるようになりましたが、そこにしばしば美しい女のひとの姿が現われたんだソウナ。
ある男がその女と親しくなり、塚の岩の下にうまっていた鏡を女のいうとおりに拾って来て、しばらくのあいだ夜ごとに会ってたりしましたが、あるとき梵鐘をつくるために銅などを集めるということが行われてその鏡も対象に。役人が家にやって来たので男が鏡を出して渡そうとすると、しまっておいた鏡はいつの間にか消えており、以後、女(巫女)も姿をあらわさなくなってしまったといいます。
和漢百魅缶│2015.05.03
Design. Koorintei Hyousen 2015