きのこぞう 木の小僧

きのこぞう(木の小僧)

土州の檮原などにつたわるもの。むかし山の中に生えていた大きな大きなひのきの木を伐ろうとしたところ、翌日になると前の日に進めていた切り口がすっかり綺麗にモトどおりになってたことをふしぎに思った人々がこっそり夜中の様子を確かめてみたところ、どこからともなく小僧たちが現われて、きりくずや木っ端をあつめてはそれを大木の切り口に詰めてモトに戻してたんだソウナ。

作業をしてる小僧たちが「人間どもはものを知らん、七くじ半の鉞[まさかり]、桑[くわ]の墨壺[すみつぼ]、古い木筆[すみさし]があればわしらが木を継げんことを知らん」としゃべってたので、さっそくそれらの道具を調達してくると、もう木がモトに戻るふしぎは起こらなかったトカ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
木筆[すみさし]は古くなったものが「ふるそま」になったり、捨てられたものが「ばけすみさし」として怪異を起こしたり、いろいろとふしぎな言い伝えをともなってます。

和漢百魅缶││2015.03.01
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