防州岩国の錦見に出たというもので、的場小路というところを歩いてた男の前に提灯[ちょうちん]をともした大坊主があらわれたので、「くせものめ」と提灯を斬り落としたところ消えてしまったそうですが、その後、男はしばらくのあいだ言葉をしゃべることが出来なくなったといいます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
『岩邑怪談録』曰
「大坊主二人挑灯を持て顕はれ来りけり。此者心剛にして其侭脇差にて挑灯を切落しければ二人の坊主は怒るけしきをなす。高声に弥陀の名号を唱へければ両僧言ふ。「流石奉公人なり」と感じて消失せぬ」
和漢百魅缶││2015.02.03
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