じごくざわのたかそとば 地獄沢の高卒塔婆

じごくざわのたかそとば(地獄沢の高卒塔婆)

尾州の鳴海につたわるもの。むかし、藤原元命[ふじわらのもとなが]が女のもとに通う途中、鳴海山にあった地獄沢という川にさしかかったとき、「足がぬれると冷たいので何か渡すものはないか」と辺りをきょろきょろ。近くに地蔵を彫りつけてある高卒塔婆があったのでそれをひっこ抜かせて川に架け渡して上を踏み歩いて行ってしまいます。

その罪によって元命とその従者は、やって来た獄卒によって地獄に送られてしまったのですが、地蔵のたすけによって一度は甦生。しかし、元命はその後も悪業を改めることはなく最期はあわれなものだったソウナ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
やって来た獄卒は大きな青鬼だったそうで、甦生した従者のほうは、地蔵をまつった「青鬼山地蔵寺」という寺を建てたといいます。

和漢百魅缶││2015.01.21
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