ゆうじょのくだぎつね 遊女の管狐

ゆうじょのくだぎつね(遊女の管狐)

甲州の武川につたわってるというもの。むかしこの土地の大きな屋敷の息子が家を飛び出して江戸へゆき、放埓な暮らしをした末に、吉原の遊女と一緒になろうと誓って、ひとあし先に国へと帰って来たものの、家のものからは全て反対されてしまいます。

遅れて江戸から甲州にやって来た遊女のほうが、男の屋敷を訪ねてみると「息子は国に帰る道中で病を得て死んでしまった、それがやつの墓だ」と、真新しい墓を見せられる始末。遊女が途方に暮れて川辺でかなしんでると、村人のひとりが本当の事情を語ってやります。

それを知った遊女は近くに生えてた芦[あし]をこまかく折っていくつもの管[くだ]にしてその村人に向かって「これをあのひとの屋敷に投げ込んでください、頼みます」と言い、そのままその場を去って、後に釜無川に身をドブン。

遊女の頼みどおりに、男の屋敷の中に投げ込まれた芦の管はしばらくしてきつねに変じたそうで、一年もたたぬうちに屋敷には事件が続発してまるごとつぶれて無くなり、男も重い病にかかって死んでしまったソウナ。

このきつねが「くだぎつね」のはじまりだ、といわれてたりもしたといいます。

和漢百魅缶││2015.01.19
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