かおぐろ 顔黒

かおぐろ(顔黒)

三州高力村の与平という男が、徳次村の真竜寺というお寺で墓そうじをして務めてたときに喰らってしまったという罰。

暗くなってからのそうじのおりに、ちょうどいいや、と地蔵の右手の上にろうそくを置いてそれを照明にして作業し、そのまま家に帰ったところ、おかみさんが「あんた顔をどうしたんだいッ」と絶叫。みてみると顔が真っ黒。おなじく右手も真っ黒になってたところから気が付いてお寺に戻ったところ、与平の立ててたろうそくの煤[すす]のせいで地蔵の顔と右手が真っ黒。

和尚にたのんでお経をあげてもらい、必死になって地蔵をきれいに洗ってあげたところ、与平の顔から黒い色はなくなり、もとのようになったトサ。

☆ 莱莉垣桜文 附註
根岸鎮衞『耳袋』に記されてるもの。鈴木棠三は「徳次村」は「常滑村」のことかと註してます。

和漢百魅缶││2015.01.04
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