越後の松野尾村などにつたわるもの。むかし、とてつもなくぼろぼろな笹だけで出来た家にすんでた夫婦がいたのですが、大みそか近くなってついに雨もりや何やらで家がダメになってしまい、新しい家をどこかに探すことに。唯一あったのは「化物が出る」という噂のあるがけっぱたにある家。無いよりはマシだと夫婦はそこにおひっこし。
すると、その日の晩に、図体のものすごく大きな「たくましいおとこ」がやって来て「夕飯くわしてくれ」と請求。怖いし、仕方がないのでごはんを自分たちの分まで全部たべさせてあげると「おれについて来てちょっと家の裏に来い」と、おとこは家から出て行ってしまいます。
家の裏に夫婦が出てみると、がけっぱたに蔵が3つあって、ひとつめには米、ふたつめにはみそ、みっつめにはかねがぎっしり。それを見せるとおとこの姿は消えてしまい、夫婦ふたりは「がけ長者」などといわれるほどのおかねもちになったソウナ。
和漢百魅缶││2014.12.28
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