むかし、いい鷹[たか]を捕ろうとして足を踏み外して深い深い谷に転落した男が、日頃おがんでた観音経を一心に唱えてたところ、2丈ばかりもある大きな蛇が谷底から出現。「これは喰われておれもおしまいだ」と男が震えてましたが、蛇は全く男には目もくれずにするすると谷からあがろうとのびてゆくので、持ってた小刀をこの蛇につきたててつかまり、無事に深い深い谷から脱出できた、というもの。
観音経が変じたものだったといいます。
☆ 莱莉垣桜文 附註
『宇治拾遺物語』にあるもので、この蛇に刺してつかまった小刀が、家の観音経の経典に刺さってたことからわかったというおはなし。
和漢百魅缶││2014.10.26
Design. Koorintei Hyousen 2014